--- ある開発者の独り言 ---
 
 このページはRoBoCoN'98出場マシンの製作にあたり,開発者のうちの一人が製作中に見聞・体験した事実をもとに,時系列でまとめたものです.(ちなみに手動マシンのメンバーが書いているので,自然と手動マシンネタが多いです)

4月  
ルール発表さる.例年の予選・本選方式を廃した,対戦型完全トーナメント方式にいたく感心する. 
 
メンバー募集始める.大学院生は,なぜか梶谷研関係者のみ.また,広く学部生からも募集を行い,ロボメカ工房を中心に続々と人が集まる. 
 
5月  
連休明けにアイディア披露.しかし,なかなか決定打がなく,責任者の焦りがひしひしと感じられる. 
 
6月  
なんとかアイディアもまとまり,書類を書く.これだけ書けば・・・通るといいなぁ・・・. 
 
7月  
 書類審査通過!おめでとう! 
 でも,7月は実質的にほとんど活動せず・・・. 
 1,2回打ち合わせしただけだった. 
 ロボットグランプリもあったしねぇ. 
 
8月  煙がでてたBMW 
「このままじゃいかん!!もっとメンバー間の連帯を強めねば」というわけでロボコン合宿強行.企画者のアバウトさのおかげで,それ以外のメンバーの連帯感強まる.(BMW煙吹き事件発生) 
 
これ以後,各担当部署で図面や回路図が出来上がっていき,急速に製作スピードがあがる. 
 
9月  
 大半の部品も入手でき,人海戦術で加工・組み立てしていく.ところどころ寸法が合わず,責任者静かに怒る.仕方ないので,組み合わせて無理矢理に電ドリで穴を空けまくり."現物合わせ工学"の実習開始. 
 
 回路のほうは,メインボードも部品が実装され,動作チェックに追われる.モータドライバ基板の出来上がりの遅さに温厚な回路担当者が切れかかる. 
 
10月  
 初めてロボットの右手が動く.と感動の瞬間に,隣の部屋から爆発音が・・・ 
(東4号館爆発未遂事件). 
 ガラスに入った薬品が膨張して爆発したらしい.くわばらくわばら. 
 
 第1回学内審査決行.相手のマシンの速さ・高さに驚く.でもアイディアではうちのほうが面白いぞ,と主張しまくる. 
 
11月  
 賛否両論あったが調布祭でロボット展示・実演を行う.その数日前上半身の運動を司るLet'sNoteが落下重体.急きょ,Libretto20で代用.しかし,このころからメインボードの調子が悪くなってくる. (Let'sNoteは修理代が28万かかるといわれたので自分で修理した) 
 
 足回りのモータ用ドライバに市販のサーボドライバを使っていたが,システムをシンプルにするため,自作の物に置き換える. 
 
 第2回学内審査決行(前夜はもちろん徹夜).今度は双方,自走マシンも含めたお披露目である.自走マシンは確実性重視でC科の勝ち.手動マシンはその時点での完成度の面でM科の勝ち. 
 
12月  
 事前審査で見事に動く.谷宮さんもびっくり!! 
 この後,NHKの人から「優勝候補」という聞きなれない言葉がわれわれの耳に入ってくる. 
 本当はダークホースで何故か勝っちゃうってパターンを望んでいたのだけれど・・・ 
 
1月  
 冬休みを明けて,フレームの強化が行われた後に,電源をいれると突然両手が暴走.「な,なおったはずなのにぃ」 この後,回路担当者の地獄のような日々が続く.->メインボードの作り直し 
 
2月  
 慣れないPLDに翻弄されつつもなんとかメインボードが完成したのは,NHK取材の数日前.ふぅ,やっと寝られる・・・. 
 
 「なんで,うちらがそんなこと・・・」(日豪反友好条約事件) 
オーストラリアチームの進度が遅く,まだマシンが完成していないらしくわれわれから宣戦布告をしろと,お達しが下る.しょうがないので当たり障りない事を言ったけど・・・. 
 
3月  
 本番の数日前,「大逆転装置のコードなんとかならないの?」という周りからの強い要請により,ついにコードレス大逆転マシンが完成.さすがっす.->大逆転装置担当者. 
 
 誰かさんの「車で行こうゼ」の一言で,東京-大阪間を爆走する予定だったが,道中の安全を考えて電車で行く事になる.すでに新幹線のチケットはほかのメンバーに渡してしまっているので,"大垣夜行(ムーンライトながら)"で行こうとするが,指定券もとれずコンパートメントも埋まってるらしく,すごすご退散(みどりの窓口の係員,無愛想すぎるぞ).18キップは買ってしまったのでもう後には引けない.快速アクティーや普通電車・新快速を乗り継ぎ,10数時間をかけて大阪に到着.その日は責任者の実家にお世話になり,翌朝金岡体育館へと乗り込んだ. 
 火を噴いたトランジスタ --こわれ系-- 
 こわれてないかなぁとおそるおそる電源を入れると,「うぁ,暴走した.・・・(ボンッ)・・・うひゃあ,トランジスタが・・・」 
このころ,トーナメントのくじ引きが行われ,第1試合で豊橋と当たる事が確定した.「だれだよ,くじ引いたの・・・」 
予備パーツで緊急に修理をする.テストランの時間も近づき,ようやく修理完了.で,テストラン.「げ,足回りが・・・」右車輪が逆転を始めた.コネクタの接触不良らしく,少しいじるとコードが切れてしまった. 
 かくして,テストランは終了した.回路担当者は責任の重さに食事ものどを通らなかった.改めて修理した後,天にも祈るような気持ちで「本番では動いてくれ」と願った. 
 
 当日は,われわれの心中に反して良い天気であった.ほかのチームよりも早く会場に向かい,夕べ考えた作戦の練習をした.実行可能である事を確認したら,ほかのチームが来る前に待機状態に戻した. 
 本番は動いてくれて良かったっす.僕はもうそれだけ・・・ 
 
 
 開発に携わった皆さんご苦労様でした.そして,金食い虫のわれわれを温かく見守ってくださった先生方,相談にのってくださった先輩方ありがとうございました.ロボコンに夢中で研究に手がつかなくなったとき,同じテーマのかたがたにサポートしていただき助かりました.ご迷惑をおかけしました. 
 この場を借りて,厚く御礼申し上げます. 
 

戻る