器演奏ロボット


MUBOT(みゅぼっと)とは楽器演奏ロボットの事で、MUsician roBOTの大文字部を取った名称です。MUBOTの歴史は古く、1977年から研究が開始され、現在までずっと研究が続いています。

今までに扱った楽器はリコーダー(ソプラノ・アルト)、ヴァイオリン、チェロで、それぞれの独奏はもちろん、複数台のMUBOTを使用した合奏も実現しています。また、楽器には一切手を加えないという前提を研究開始時から一貫しています。

写真はMUBOT Mark.IIで、概AITOと共同研究されたMUBOTです。 これは1984年に完成し、国内外の様々なイベントに出かけて行きました。 現在でも毎年11月に行われる学園祭(調布祭)等で動いている所を見る事が出来ます。

MUBOT

最近の研究

2002年度までにアルトリコーダー、ヴァイオリン、チェロの3台のMUBOTのOSをLinux化し、MIDI信号による演奏指令で演奏が可能になるようになりました。これによって演奏システムとして一つの完成をしました。

そこで2003年度からは更にステップアップし、「人間のように演奏する」というテーマを設定しました。これは演奏工学という、人間の演奏法を工学的に解析し合理的な練習法や演奏技法の解明をすることを目的としたものです。今までのMUBOTは機械的に演奏を実現している部分も多く、人間とは異なる方法で演奏しています。そのため解析された演奏技法は多くありませんでした。そこで人間の演奏動作を模倣する新型MUBOTの研究が始まりました。対象の楽器は、従来型で最も人間と異なる演奏をしているヴァイオリンを選択しました。

新型ヴァイオリンMUBOT

現在製作中の新型ヴァイオリンMUBOTの写真です。2004年度は弦を押さえる左手の部分(運指機構)を製作しました。従来型のMUBOTではエアシリンダやソレノイドを使用して機械的に弦を押さえていました。新型では「人間のように演奏する」ために"指"を使用して弦を押さえるようにしました。しかし指だけあっても演奏は出来ません。そのほかに曲げ関節と直動関節を持つ手首部分があります。指は機構が異なる2種類を製作し、それぞれの機械的特性や性能の評価を行っています。

分布型触覚センサ

1本指を使用した「きらきら星」の演奏試験の動画がダウンロードできます。右手の運弓動作は未製作なので人間が代行しています。

movie動画1(約2.63MB)

movie動画2(約2.60MB)

今後の研究

現在は左手の運指機構と平行して、弓を扱う右手(運弓機構)の開発が進められています。新しい運弓機構にはロボットアームを使用し、より表情豊かな演奏が出来ることを目指しています。